元女子高専生のつぶやき

高専→理系大学→欧州大学院の女子のつぶやきです

M1前期をフランスの物理学科で過ごしてみて  (エラスムス修士)

電通大を卒業後、ヨーロッパの大学院に進学しました。

夏に渡欧し、9月からフランスの大学院でM1の勉強が始まりました。

すごく、すごく大変だったのでツラツラと書いていきます。

自分でもどうやったのかわかりませんが、前期の単位を全て取ることができました(どうやったかもうわからんし、もう同じことしたくない、しんどすぎた)

努力は必ず報われるとは簡単には言えないけど、頑張ったら見てくれてる、評価してくれる人がいます。

自分を信じて頑張ってください。

 

高専(電気電子工学科)→ 電通大(電子工学)→ Erasmus Mundus Joint Masters

European Master of Science in Nuclear Fusion and Engineering Physicsと進学してきました。

今在学している修士プログラムは、端的に言うと核融合の勉強をする修士プログラムです。

 

海外大学院を考えてる人は英語圏を考えやすいと思いますが、ヨーロッパにも英語で学べる修士がたくさんあります。

私が在学している修士は、Erasmus Mundus Joint Masters と呼ばれるシステムです。

ヨーロッパではエラスムス(Erasmus+)と呼ばれるシステムがあり、学部から博士まで、ヨーロッパ間の学生の交流を目的とした組織?で、結構なお金をかけて学生の留学を斡旋しています(多分)。

なのでヨーロッパでエラスムスと言うと大体みんな知ってて、「あー留学生ね」と認識されます。

 

エラスムスの中でも修士プログラムがあり、修士の期間に何か国か移動しながら学位を取るものです。言語が指定されているプログラムもあるかも?ですが、国を移動するのが前提なので、基本英語のプログラムになってると思います。

これが現在ある修士のプログラムで、理系文系問わず200以上のプログラムがあります。

www.eacea.ec.europa.eu

 

エラスムス修士の学費は、自分のプログラムの例ですが(恐らく、他のプログラムもそうだと思う)、ヨーロッパ国籍の人が年間4500€(現地の国公立より高いらしい?)で、それ以外の外国人が年間9000€です。レートによりますが百何十万かでしょうか。

 

ありがたいことにエラスムス自体が給付型奨学金を持っており、なんと外国人枠もあります。それに選ばれると(多分自動的に)学費が免除され、月々お金を貰えます。

私もその奨学金を頂いており、無料で勉強させてもらって、フランスの地方では十分に生活できるくらい、月々の生活費をユーロで貰っています。具体的な金額など聞きたい人いたらツイッターなどで連絡ください。

ユーロでお金がもらえるので日本のどの奨学金よりも条件がいいんじゃないかと思っています。ただこれはもちろんエラスムス修士に進む人のみが条件です。

tobitate-mext.jasso.go.jp

 

詳細は、駐日欧州連合代表部の留学イベントなどで担当者に話を聞くのが一番良いとおもいます。この留学フェアは毎年やっているようなので、ヨーロッパの留学を考えている人はぜひ訪れてみてください。

ehef-japan.org

このイベントにエラスムスのブースがあります。

ehef-japan.org

担当者も実際にエラスムス修士を卒業した、という人が色々親身に話をしてくれました。本当に感謝しています。

 

  • フランスの生活

フランスに住み始めて7か月ほど経ちました。まあもう慣れましたね、フランス語出来たらもっと楽しいだろうなと思う日々ですが。

フランスは英語通じないと良く揶揄されていますが、日本より全然通じます。まあでも買い物などは普通にフランス語です。

来るまで知らなかったのですが、フランスに居るアジア系は、中国系よりベトナム系など(植民地だったから)が多いみたいです。(歴史に疎すぎる

 

良い所

・食べ物美味しい

・学生に優しい(健康保険証とか学生の方がすぐ来る、外国人でも学生用の住宅補助がある、学食が昼も夜も一律3.3€)

・結構なんでも電子化されてる(行政手続きはほとんどオンラインで出来た気がする)

・日本人もぼちぼち居る(エリアによるが、先進国なので田舎の方でも居るの嬉しい)

・アジアマーケットある

・先進国なのでだいたい何でも揃うor代用できる

 

悪い所

・冬天気悪い(自分がいるところがフランスでも北側なのと、地中海より上のヨーロッパはどこもそう)

・汚い(私の町が汚いのでは?と他の在住日本人と話してたが、そもそもフランスの衛生概念が日本と全然違う、正直スペインの方が綺麗だと思う、便座ないの当たり前すぎて。絶対小学校で掃除の時間あった方が良い)

・喫煙率高い、大麻くさい(大麻臭いのは私の居る町が学生が多いからかもしれない)

・花粉ある(スギではないが、色々花粉のアレルギーある人は注意したほうが良い)

 

自分の場合は、以前にスペインに半年住んでいた経験があったので、カルチャーショックでメンタルやられるとかはありませんでした。なのでフランスの生活がしんどいなどは無かったですが、ヨーロッパ経験がない人(ヨーロッパの雰囲気を知らない人、知らない言語に囲まれたことが無い人)だと、一気に生活と勉強との変化があるので結構大変じゃないかなあと思います。

 

またフランス渡航前に、フランス語のレッスンをマンツーマンで何十時間かやったので、挨拶や超基本の動詞などを使って話せるくらいにしていました。なぜならスペインに初めて行ったときに言葉がわからなくて病んだ経験があったからです。あとスペイン語を少し話せるので、フランス語もなんとなくは読める強みもありました。(その分専門の勉強しておけば良かったとも思っています。)

留学生仲間が他にもいるので、その人たちとはすぐに仲良くなりました。現地のフランス語話者の学生の中には英語話すの苦手な人もいるので、その人たちと仲良くなるのはもう諦めました笑(日本人みたいに、英語を聞いたり読んだりしたらわかるけど、話すのが苦手という人がフランス人には多いです。)なので英語普通に話せる一部のフランス人クラスメートとのみ絡んでます。英語話せる人の方がやはりオープンで、留学生にも話しかけてくれます。

私がいる地方も日本人もぼちぼち居たり、日本人がやっている和食レストランもあるので、日本人としての寂しさはありません。xplaneのスラックでもヨーロッパの人たちで月一でおしゃべりする機会があるのでそこでのんびり話してリラックスしています。

ただフランス人と仲良くなるのは時間かかるなあと思っています(現在進行形)。一般的にも南の方が人懐っこく、北に行くほど距離感が遠くなります。スペインに慣れていたので、フランス人は距離遠いなあ、日本人みたいだなあと感じています。

あとフランス人、フランス語話者が謝らないのはマジ。どうみてもあなたに非があるじゃないってことも、謝ろうとしないですね。その神経の太さがむしろ羨ましい。まあdésolée(ごめん)よりもpardon(英語のpardonと同じ使い方)を頻繁に使いますね。

 

あとフランス人も文句を言う行政手続きなどの遅さですが、欧米で日本みたいな対応を想像するのが間違ってますよね。いろいろテキトウですが、良くも悪くも融通がきくと感じています。ゴネれば行けることが多いが、ゴネるためにはある程度の言語力が必要ですね。フランス語で文句言えるくらいの語学力が目標です。

 

病院行ったり、親知らず抜いたり色々していますが、やっぱり先進国なのでなんでもあって楽ですね。でも落ち着く~であったり、ここ好きだな~とならないので早くM2で違う国に行きたいです。というかスペインが好きなのでM2でマドリード行けたら万々歳です。フランス語出来たらフランスをもっと好きになれるのかなとも思いますが、どうなんでしょうね。

 

  • 勉強 フランスの物理学科M1

もう本当に勉強が大変でした。編入試験のときよりも勉強しました。人生で一番勉強したと言っても過言じゃないです。

なぜ苦労したかと言うと、電気系から物理系に専攻を変えたからです。工学部から理学部に変わりました(pure物理しんどすぎる、向いてない)

 

エラスムスのデメリット?になるかもですが、進学先の大学によって科目が若干変わります。というのも、エラスムスのプログラムにもよりますが、行く国が決まっていてどんな授業受けるか決まっているパターンと、行ける国が何個かあってその中から選ぶシステムがあります。

私のプログラムは後者で、スペイン、フランス、ベルギー、ドイツ、チェコの中から行きたい大学院を選びます(希望通りになるかは微妙です、それぞれのエリアに定員があるので)。なので修士プログラムの名前が物理工学なのに、自分の進学先の大学院の学科は理学部物理学科でした(来てから気づいた)。あと噂ですが、フランスは理論に重点を置いてると聞きます。(高専とやってきて手を動かさないものは捉えるのが難しくてわからなくて苦手なので結構ツラカッタ、理論好きな人どうやってるんとずっと思っている。)他の国、エリアではもっと核融合に関わる技術とか、工学の授業があるところもあるそうです。エラスムスで進学先の大学院を選べるタイプの人は、先輩などに話を聞いて選ぶことをおすすめします。

 

私のプログラムは英語C1無いと入れません(エラスムスのプログラムでも高い方らしい?)。でも授業はフランス語と英語の半々です。なぜならフランスの現地の学科に混ざって授業を受けるからです。これは進学先の地域によります。自分のプログラムでもマドリードの場合、留学生専用で授業が開講されるのでもちろん英語オンリーです。

エラスムスの強みかもですが、留学生だけに授業が開講されることがあるので、超少人数の授業になるので、なんでも先生に聞けます。私たちも何科目か、4人だけで受ける授業があります。そういう授業はレベルも私たち留学生に合わせてくれる(基礎知識をそんなに問われない)ので普通に勉強すれば大丈夫です。

一方フランス現地の授業に混ざる科目は、物理を学んできた人向けのレベルなので、初回から意味わからなかったです(量子力学や場の古典論などなど)。しかもフランス人の先生の中には英語が苦手な人がいるので、彼らの英語が何言ってるかわからない場合もあります。私は始めこれが自分の英語力が低いせいだと思い込んでいたのですが、どう考えても先生の英語スピーキングの問題なので、そういう先生に当たった場合自分を責めないでください。またそういった強いフランス語訛りの英語にもそのうち慣れます。また慣れないフランス語を聞くだけでも疲れるので、始めの数か月は授業を聞くだけでぐったりしていました。

あとシンプルに初めて授業を英語でやるので、初めて物事を英語で考える、数式を英語で考えて解くということをしているので、全ての思考が遅くもどかしく、出来ない感覚に陥っていました。初見の先生の手書き文字は読めず(筆記体を書く自分でも)、ノートを写すのにも時間がかかっていました。初めのころは、英語は聞き取れるのに何もわからないという状況でした。英語の音と意味が結びついていませんでしたが、段々とtechnical termに慣れていきました。ヨーロッパの人たちは専門用語になるほど、母国語と英語が似ていくのでうらやましかったです。初見で誰がperpendicularと直角がイコールとわかる?って感じです(勉強していかなかった自分が悪いのはそう)。フランス人なども英語全然話せないのに、専門用語はほとんど同じなので、英語で専門聞いてもわかるのが本当にジェラシーだった。日本語母語の人で海外で勉強してる人本当にすごい。まあ今もまだ日本語のときほど頭が早く回らない感じがしていますが、これも、英語で考えるということに慣れるという時間の問題でしょう。

ということで専攻を変えた上に、先生の英語も微妙な場合もあったりして、まじで授業中なにをやってるかわからなくて泣きそうになることがリアルにありました。

 

またフランスは学部が3年なので、修士もたくさん座学があります。例えば10月の時間割です。フランスは毎週時間割が変わります笑(斬新すぎる)。

前期の時間割

あとフランスは朝が早いです。8時から授業が始まることもあります。高校並に授業あるやんと思っていました。ただ出席はないので、朝イチは学生が少なく、人気のない先生の授業はスカスカだったりします。

 

フランス(ヨーロッパ?)の修士のシステムとして日本と全く異なるのは、研究室に所属しないというところでしょうか。例えば私のところではM1の研究は、ひと学期の半分の期間、集中的に行います。インターンシップとも呼ばれ、M1後期の前半がその期間でした。それが終わるとまた座学のみの期間となります。M2も基本的に、M2後期だけで研究を一気に行い修士論文を書くようです。(なのでエラスムスのようなシステムが作れるのですが。)たださすがにM2の始めから先生とコンタクトをとって研究を始める人が多いようです。私もそうしたいと思っています。

なので日本の方がヨーロッパよりも研究出来るという強みがあるなと思います。

 

とにもかくにも、英語で慣れない物理を勉強するのが大変で、(来てから物理が苦手で工学やりたいと気づき)本当に泣きながら勉強するというときがありました。日本でそれなりに出来る方だったレベルから一気に頭が悪いという感覚になり、自分に自信をもてなくなりました。まじで進級出来ないんじゃないかなと本気で思っていました。とぼとぼ帰国することになったらどうしようと思っていたときがあります、つらかったなあ。元々過食しがちだったのですが、ストレスで前期の4か月くらいで10kg太りました。その後もコンスタントにストレスかかるし、運動する元気も無いので元に戻るの諦めました。またテスト前など不安すぎて睡眠障害が出てくるので、メラトニン飲んでました。ヨーロッパは普通に薬局でメラトニンのサプリが買えるのでとても助かります。

そして相性が悪いのがヨーロッパの冬です。気づいた時には冬季うつになっていたと思います。フランス北東部では、日は8時半くらいに昇り、16時半くらいには沈みます。また秋と冬はひたすら微妙な天気で、雨が降ったりやんだり、ずっと灰色の空でした。もうこの冬は経験したくないですね。日本海側の元道民ですが、普通にダメでした。都会の方がいろいろあって病まなかったという話も聞きます。

冬季うつっぽくてもどうすればいいかわからず、これで精神科行くのもあれかなーと思っていたので放置してたら春になってまじ元気になりました。太陽は偉大。

大体どこの大学にもpsychologistは居ると思うのでしんどくなったら躊躇わずにアクセスしてください。自分の場合はしんどい時にフランス語で電話してアポ取るのがムリでできませんでした。大学の先生でも話を聞いてくれるのでそういった人にぜひ頼ってください。

 

がむしゃらにがんばった前期、ありがたいことに全ての単位が取れていました。

M1前期の成績

先生とコミュニケーションを取っていたのもあり、ぎりぎり上手く上げてくれたものなどもあります(まじ感謝)。また物理学科だからかもしれませんが、成績評価が中間と期末テストのみで宿題などはありませんでした。そしてテストと成績共に20点満点で、10点以上で可です。テストも難しければ学生の正答数の平均から点数の重み付けをしてくれる先生が多いです。なので点数は日本より取りやすいシステムのようにみえます。ゆうても現地で学部から上がってきてる学生ですら落とす科目(量子力学と場の古典論など)などもあるので、よくまあ単位取れたなと思います。

 

全力で頑張っていればそれを見てくれている人もいます。海外に進学して大変な思いをしている人もいると思いますが、自分を信じるということは辞めずに頑張ってください。

私は自分に自信が無くなって、自分を信じれなくなりましたが、SNSなどで応援してくれる人がいて、「大丈夫、やればできるから」と励ましてもらってなんとかここまで来れました。本当にありがとうございました。

 

えぐかった前期を乗り越え、春にもなって日が長くなり、天気も晴れが多くなり元気になりました。

勉強が出来ないことや、日本でのキャラとこっちでのキャラの違いにアイデンティティがわからなくなり、自分を見失っていました。でも単位が取れたことや、英語で物理を話すことにも慣れてきて、ちょっとずつ英語で勉強が出来るようになってきたんじゃないかなと思えています。そしてプログラムのM1の委員長的なのにもなったのですが、みんなが私に向いてるよと言ってくれたことに、こっちでもそのキャラがあるんだと気づけて嬉しくなりました。

今の修士に進学する前は博士もありだなと思っていたのですが、物理が苦手なので核融合の研究者になるのが向いてるか怪しいなあと思っています。エンジニアになりたいですね。将来、具体的にどんな職業がいいかまだわかりませんが、修士もまだ長いのでのんびり考えていきたいです。まず修士を取れるかどうかなので、頑張ります笑

 

もっと詳しく知りたいよーという人がいればツイッターやxplaneのスラックに居るので連絡ください~

xplane.jp